鍼灸は何に効くの?

鍼灸治療は、腰痛や肩こりの治療だけではありません。

鍼灸治療は、実際どのような疾患に有効なのか。

1.運動器疾患

まずみなさんが、鍼灸治療と聞いて思い浮かべるのは運動器疾患だと思われます。
実際、肩こり・五十肩・腰痛・膝痛・捻挫・寝ちがえ・腱鞘炎・ムチウチ症・スポーツ障害(テニス肘や野球肘など)の運動器疾患で来院される患者さんは多く、有効な疾患の代表といっていいかも知れません。

2.神経系の疾患

神経系の疾患である神経痛(座骨神経痛、肋間神経痛や三叉神経痛など)や顔面神経麻痺、脳卒中後遺症や慢性頭痛などにも効果があります。

3.婦人科系疾患

更年期障害の諸症状、不妊症、月経痛、月経不順、月経困難、子宮内膜症、子宮筋腫、冷え性など 東洋医学では、子宮などを含めた部位を「血室」と言います。それほど「血」が必要な臓器であるということです。 ところがそれだけ血を多く必要とするのに、血虚(けっきょ)という体質の女性が多いのも事実です。 血が虚すると書きますから、血が足りないんだろうなぁー、ということは想像がつくと思います。 貧血症の人はもちろんですが、それ以外の人でもこの体質の人が意外と多くいます。 この体質に「冷え」が加わることによって不妊症や月経困難症を訴える人が多いようです。 最近ブームのショウガ健康法で、身体が温まって調子が良くなったという女性が少なくないのは、それだけ「血虚で冷え」の人が多いということです。 他にも東洋医学で言う、瘀血(おけつ)という体質、俗に言う古血体質も婦人科系疾患の原因になります。

4.アレルギー疾患

鼻炎、ぜんそく、皮膚炎など 東洋医学では、身体を内と外に分けたり、表と裏に分けたりします。そして、病気が身体の外側(表)にあるのか、内側(裏)にあるのかを判断して治療します。 例えばアレルギー性鼻炎は部位が鼻ですから、身体でいうと外側です。あるいは表です。ですから、表での陽気の発散が悪く熱が滞って炎症を起こしている、というように東洋医学では診ます。 ところが、表での発散が悪いのは、身体の内側に問題があることが多いのです。 自然界では、春になるとあらゆるものが活動的になります。人間も自然界の一員ですから、春になると活動的になります。言葉を変えると、春になると陽気の発散が活発になります。 ところが、現代は冬でも冷たいビール飲んだり、アイス食べたりして、一年中胃(内側)を冷やしています。そのために、春になっても自然界の動きについていけず、いわゆるアレルギー性の病気が出やすいのです。

5.高血圧、糖尿病、高脂血症、心臓病などの生活習慣病

生活習慣病で薬を服用して治療を受けている患者さんでも、鍼灸や漢方薬を併用していると、進行が抑えられることがよくあります。場合によっては薬を服用しなくてよくなることもあります。

6.消化器系疾患

慢性胃炎・胃、十二指腸潰瘍・食欲不振・便秘・大腸炎・口内炎・消化不良など 日ごろから、なんとなく胃腸の具合が悪い人はもとより、病院で治療を受けている人も、はり灸治療を受けることで、違った効果が期待できます。 東洋医学では、食欲不振やもたれ、吐き気などは胃が冷えたり、水の停滞が原因と考えます。 逆に「胃熱」が多く食欲が暴走して、胃腸を悪くしている人もいます。 この胃腸の病的な冷えや熱を除き、停滞した水をさばくことで、不快な胃腸症状を改善することができます。

7.難聴や耳鳴り、めまい、不眠症なども、鍼灸治療が有効な疾患です。

簡単に言うと、病的な陽気(熱)が上昇して起こることが多い疾患です。 俗に言うと、のぼせが原因であることが多い疾患です。したがって、のぼせを下げる治療を行うことで、症状を改善します。

8.小児疾患 夜泣き、かんむし、夜尿症など、小児はりがとても有効です。

使用する器具も大人のはり治療とは異なり、ヘラや棒のような器具で軽くツボを刺激するような感じで、とても気持ちよさそうに治療を受ける子供もいます。

9.その他、リウマチなどの自己免疫性疾患も、はり灸治療が有効です。