東洋医学からみた夏の過ごし方

東洋医学からみた「夏」

夏は一年中で最も自然界の陽気が盛んな季節で、気温もグングン上昇し、植物もどんどん成長します。

自然界の一員である人のからだでも陽気が盛んになります。
それに外界の暑さも加わってからだの熱が旺盛になります。

このままだと熱が多くなり過ぎてオーバーヒートしてしまいますが、このとき陰気が働いてうまくバランスをとり、からだがオーバーヒートするのを防いでくれます。

東洋医学からみた夏バテ

このように夏はからだの中に熱が多くなるので、陰気がうまく働いてバランスをとるようになっています。

しかし、過ごし方を間違えるとこのバランスが崩れて体調を壊してしまいます。

1.(冷房がなかった時代の)古典的な夏バテ

からだの熱を抜くのに最も効果的なのは発散することです。

別に意識しなくても、からだは暑いときは自然と発汗して熱を放出していますよね(^^)

東洋医学では汗は「血」の変化したものと考えます。

ですから、猛暑が続いたり、暑いところで長時間働いたりして発汗過多が続くと、血虚(けっきょ、現代医学でいう貧血のことではなく、血を必要とするところに不足する状態のこと)になることがあります。

そうなると体がだるくなったり、動悸や息切れ、あるいは食欲不振などいろいろな症状が発生します。

もちろん現代でもよく見かけますが、以前は夏バテといえばこのタイプのものが主流でした。

このタイプの夏バテを予防するには、できるだけ十分な休息をとったり、日中の仕事や運動を避けて朝夕の時間帯に行うようにしてください。

また、冷たい飲食物をとりすぎて胃腸をこわすと、より深刻になりますから注意してください。

2.冷房が原因の夏バテ その1(熱がこもるケース)

なんといっても現代の夏バテの主流は冷房が原因のものが圧倒的に多いようです。

なぜ暑さに負けないように冷房を使っているのに、かえって夏バテするのか?

それは、先ほども少し触れましたが、東洋医学では夏は自然界の陽気が旺盛で万物が栄える季節だと考えます。

同じように人のからだも夏の気に応じて活動的なのが望ましい、つまり陽気を発散すべき季節だと言えます。

ところが、冷房でその陽気の発散を妨げると、からだの中に熱がこもってしまいます。

また、暑さしのぎに冷たい飲食物をとることで、さらに発散を妨げているようです。

昔の人が、「暑い時は熱いお茶を飲んだが涼しくなる」と言うのは、熱いお茶を飲んで汗をかいて陽気を発散して、結果的に熱を抜いているという理屈です。

このようにして発散できない熱がどんどん溜まっていくと、全身の倦怠感などいろいろな症状を引き起こします。

このような夏バテを防ぐには、一日一回でもいいですから大汗をかく機会を作ったがいいようです。

特に、冷房の効いた室内で長時間仕事する人は、ウォーキングなどで汗をかいてみてください。かなりの効果が期待できますよ(^ ^)

それに、冷たい飲食物もできるだけ避けて温かいものにして、しっかり発散してください。

インドの人がカレーを食べるのも、モロッコの人たちが熱いミントティーを飲むのも、陽気を上手に発散して健康を保っているんですね。

3.冷房が原因の夏バテ その2(冷えるケース)

元々陽気が旺盛でない人(東洋医学でいう陽虚タイプ)が、冷房の効いた室内に長時間いると、夏だというのに陽気が不足してからだが著しく冷えた状態になります。

このタイプの人は、普段から冷房に弱いと自覚している人が多いようですが、中にはあまり自覚してなくて、体の痛みや下痢になってはじめて気付く人もいるようです。

このタイプの対策の基本は、冷えないようにすることです。

冷房が避けられない方は、市販の冷房対策グッズを活用してください。
特に足からの冷えは、直接からだの中に侵入しやすいので、レッグウォーマーなどの活用がオススメです。

飲食物もからだを温めるものにしてください。

香辛料やミントは陽気を発散して、結果的にからだを冷やすので、生姜のような、からだの中を温めるものがいいようです。